診療記録041:記すほどのことはない 診療記録:人物記録・対話・非臨床
最終日、最後に訪れたのは、顔なじみだった。 光の戦士として各地を巡り、戦場を越えてきた身体は、よく保たれている。筋力も、循環も、エーテルの流れも。大きく崩れたところがない。整っている。 一通りの確認が終わったあと、彼女は […]
続きを読む最終日、最後に訪れたのは、顔なじみだった。 光の戦士として各地を巡り、戦場を越えてきた身体は、よく保たれている。筋力も、循環も、エーテルの流れも。大きく崩れたところがない。整っている。 一通りの確認が終わったあと、彼女は […]
続きを読む彼は診療所に入ると、一礼してから静かに立った。 暗灰色の髪を清潔に整えた、アウラ・ゼラの男性。侍として冒険者を続けており、刀を振るう姿は無駄がなく、安定している。 「……鱗が、少し荒れていて」 そう言って差し出された前腕 […]
続きを読む扉が開く前に、金属の匂いがした。研磨剤の白い粉と、油の薄い膜。袖に残る微細な粉が、光を吸って鈍く光る。 彼女が診療所を訪れたのは、約束の時間を少し過ぎてからだった。 「すみません。……どうしても、ひとつ仕上げ切りたくて」 […]
続きを読むその日は、扉を開ける前から声がした。笑い声。靴音。革の擦れる音。――薬草と消毒の匂いに、外の空気が混ざり込む。 診療所に集まっていたのは、私が運営するフリーカンパニーの面々だった。誰かが倒れたわけでも、担ぎ込まれたわけで […]
続きを読む鈴が鳴る前に、床が鳴った。 担架の金具が石畳を削り、扉が肩で押し開けられる。草いきれと樹脂の香りが、薬草の匂いを一息で追い払った。 「落ちた! 頭から! 最初は喋ってたのに、急に……!」 ルガディン族の男が担架に乗ってい […]
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