診療記録050:甘い渇き、乾いた取引
朝の棚は整っていた。先日の救急の残り香はとうに消え去り、瓶は黙り、床は乾き、薬草の匂いがまた主役に戻る。 鈴が鳴った。 扉から入ってきたのはララフェル。衣は簡素だが縫い目がいい。砂の上でも崩れない仕立て。足取りは軽いのに […]
続きを読む朝の棚は整っていた。先日の救急の残り香はとうに消え去り、瓶は黙り、床は乾き、薬草の匂いがまた主役に戻る。 鈴が鳴った。 扉から入ってきたのはララフェル。衣は簡素だが縫い目がいい。砂の上でも崩れない仕立て。足取りは軽いのに […]
続きを読む夕刻、診療所の扉が勢いよく開いた。 開いた、というより――誰かが半分ほど倒れ込みながら押し開けた。 「先生! こいつ、たぶん食中毒です!」 担ぎ込まれてきたのは、ミコッテ・サンシーカーの若い冒険者だった。年齢は十九。まだ […]
続きを読む夕刻、診療所の扉をノックする音。入ってきたのは、ガンブレードを担いだ肩幅の広いロスガルの男性。よろめきながらも、気力だけで立っているような様子でした。 主訴は高熱、悪寒、鼻汁に倦怠感。話を聞く限り、症状は2日前から出てい […]
続きを読む朝、診療所に慌ただしい足音と共に飛び込んできた男性は、息を切らしながら言った。「父が……朝になっても目を覚まさないんです。体が冷たくて、心臓も……」 私はすぐに往診の支度をし、彼の案内で森の奥にある一軒家へと向かった。 […]
続きを読むこの日、診療所の扉を押し開いたのは、どこか覇気の抜けた足取りの来訪者だった。 「……リーザぁ……助けてくれぇー……」 胃を押さえながらしゃがみ込むその姿に、私はため息をひとつ。 「まったく。何度も言ったじゃん。『知らない […]
続きを読む今朝方、双蛇党の制服を着た若いエレゼンの男女が揃って診療所へ。顔色が悪く、ややふらついた様子で、交互に症状を訴えられました。 「朝から吐き気と寒気が止まらなくて……」「昨夜、隣人の鬼哭隊の方にいただいたアンテロープの肉を […]
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