診療記録023:風は鋼鉄も貫く
- 種族
- ロスガル・ヘリオン / 男性 / 37歳
- 職業
- 冒険者
- 主訴
- 悪寒、倦怠感、頭痛、鼻汁
- 診断
- 星風熱(いわゆるインフルエンザ)
- 処置
- 対症療法として「エーテル鎮痛薬」「霊草湯」を処方。 他者との接触を避け、十分な休養と水分補給を指導。治癒魔法の効果は限定的であり、回復までに5~7日を要する見込み。
夕刻、診療所の扉をノックする音。
入ってきたのは、ガンブレードを担いだ肩幅の広いロスガルの男性。
よろめきながらも、気力だけで立っているような様子でした。
主訴は高熱、悪寒、鼻汁に倦怠感。話を聞く限り、症状は2日前から出ていたが、旅の疲れと誤解し放置していた模様。
昨夜から急激に悪化し、ついには動けなくなったとのこと。
最近クルザス西部高地を訪れており、氷風に曝されたこと、
さらに滞在先の宿で同様の症状を訴える客が複数いたという情報から、感染症を疑いました。
検査の結果、「星風熱」――寒冷地での強い冷風や瘴気の干渉によって引き起こされる、
季節性の高熱症状であることが判明しました。
身体のエーテル循環が乱れた際に発症しやすく、特に疲労の蓄積した冒険者に見られがちな疾患です。
「強さは、耐えることじゃありません。
適切な時に、立ち止まる勇気もまた、力のひとつです」
特効薬が存在しないため、処置は対症療法となります。
鎮痛と熱冷ましのためのエーテル薬、および身体を温める霊草湯を処方。
他者への感染を防ぐため、隔離と休息を指示いたしました。
なお、彼を診療所へ連れてきたヴィエラ族の女性も、数日後に同様の症状で受診。
今期の星風熱はやや感染力が強いようです。
私的記録:
彼のような者は、倒れるまで無理をしてしまう。
……だからこそ、こうして誰かが連れて来てくれる存在がいることが救いだ。
回復の後は、もう少し“自分のことも見てやれ”と、軽く説教でもしよう。
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