診療記録027:巡る命、まっすぐに
- 種族
- ララフェル・プレーンフォーク / 女性 / 31歳
- 職業
- 農婦
- 配偶者
- ララフェル・プレーンフォーク / 男性 / 28歳
- 主訴
- 経過観察(妊娠32週)
- 診断
- 双胎妊娠継続中。ふたりとも健康。第一児の逆子は解消。
- 処置
- 安静指導継続。母体の負担を考慮し、自宅での作業量制限を提案。以後も定期的な診察予定。
妊娠32週。春の足音が聞こえ始めたある日、彼女はいつものように落ち着いた様子で診察室へ入ってきた。
しっかりとした足取りながらも、お腹のふくらみは日増しに目立ち、まるで小さなかごを抱えているかのようだった。
「逆子、戻ってるといいんですけど……」
そう言って診察台に上がった彼女の声には、わずかな緊張がにじんでいた。
触診とエーテル視を用いた確認の結果、第一児の胎位は正常位置に戻っており、胎動も規則的。
「ご安心ください、頭が下になっていますよ」
そう伝えると、彼女は「よかったぁ……」と心底ほっとしたように笑った。
お腹の中のふたり、第一児は以前と変わらず元気な男の子。第二児はやや恥ずかしがり屋なのか、エーテルの反応は控えめで、性別の判別にはもう少し時間がかかりそうだった。
診察の終わりに、彼女はふと思い出したように言った。
「夫が、次は名前の候補を持ってくるって張り切ってました。男の子ふたりでも、名前でちゃんと呼んであげたいって」
私的記録:
命の向きが整うというのは、きっと母の心のあり方にも通じるのだろう。
ふたりの芽吹きは、季節とともに、すこしずつ実を結び始めている。
残りわずかな旅路を、穏やかに過ごしてもらいたい。
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