診療記録008:静かな一日、交わした約束 診療記録:人物記録・対話・非臨床
その日は、朝からずっと診療所の扉が開くことはなかった。 「こんな日もあるんだね」薬品棚に収めた薬瓶のラベルを丁寧に拭きながら、シシスがぽつりと呟く。 「まあ、嵐の前の静けさってやつかもよ。明日になったら、山から落ちたとか […]
その日は、朝からずっと診療所の扉が開くことはなかった。 「こんな日もあるんだね」薬品棚に収めた薬瓶のラベルを丁寧に拭きながら、シシスがぽつりと呟く。 「まあ、嵐の前の静けさってやつかもよ。明日になったら、山から落ちたとか […]
本日は、妊娠8週で妊娠が判明した患者の定期検診。妊娠12週となり、つわりによる食欲低下や倦怠感を訴えて来院。 脈診・腹部の触診・エーテル視いずれにおいても、胎児の成育は良好。つわり症状も過度なものではなく、妊娠初期に見ら […]
午後、訓練場から当診療所へ運び込まれたのは、鬼哭隊の指導教官にして、“鬼教官”の異名を持つベテランのミコッテ男性。 訓練中、新人隊員の木刀を受け止めた際、相手の予想以上の力にバランスを崩し、背中から転倒。以降、自力では起 […]
朝、診療所に慌ただしい足音と共に飛び込んできた男性は、息を切らしながら言った。「父が……朝になっても目を覚まさないんです。体が冷たくて、心臓も……」 私はすぐに往診の支度をし、彼の案内で森の奥にある一軒家へと向かった。 […]
午前の終わり、診療所の扉が控えめにノックされた。入ってきたのは、白い髪と深い紅の瞳をもったララフェルの少女。 言葉少なに椅子に座ると、彼女は顔を強ばらせながら「……下着が、赤くなってたの。止まらないの」とぽつり。 詳細を […]