診療記録018:幻に宿る生命 診療記録:産婦人科
本日の来院者は、緊張した面持ちのエレゼン・シェーダー族の女性冒険者でした。彼女の訴えは深刻で、「胎動を感じるのに、妊娠のはずがない」というものでした。 問診を進めると、先日討伐した魔物の放った呪術に巻き込まれ、その日以降 […]
本日の来院者は、緊張した面持ちのエレゼン・シェーダー族の女性冒険者でした。彼女の訴えは深刻で、「胎動を感じるのに、妊娠のはずがない」というものでした。 問診を進めると、先日討伐した魔物の放った呪術に巻き込まれ、その日以降 […]
「戦場で跳躍の最中、着地した瞬間に“ぶちっ”と音がして……そのまま足に力が入らなくなりました」 冒険者仲間に支えられながら診療所に運び込まれたのは、若き竜騎士のヴィナ・ヴィエラ。深藍の髪と、澄んだオッドアイを持つ彼の顔は […]
本日は前回の経過観察のための再診。患者は明るい笑顔で診療所を訪れ、今回は夫も同行していた。 「おかげさまで、あれからすっかり痛みもなくなりました。でも……この人がどうしても一緒に来たいって言い張って……」そう言って少し照 […]
「少しお腹が下がったような気がして……」彼女がそう言って来院したのは、妊娠20週目に入ったばかりの頃だった。触診とエーテル視を丁寧に行う中で、私は眉をひそめた。胎動の位置がやや高く、骨盤のほうに頭部が来ていない。 さらに […]
午前の診察も落ち着いた頃、知人の小児科医ウィリス・メルヴァンから緊急の伝令が届いた。 患者は5歳のヒューラン・ハイランダー族の男児。街中の屋台火災に巻き込まれ、上半身を中心に重度の熱傷を負ったという。 すでに数名の幻術士 […]