診療記録021:見つめる未来、描かれたふたつの顔
- 種族
- ララフェル・プレーンフォーク / 女性 / 31歳
- 職業
- 農婦
- 配偶者
- ララフェル・プレーンフォーク / 男性 / 28歳
- 主訴
- 妊娠経過観察(妊娠26週)
- 診断
- 双胎妊娠、胎児の成長はともに良好。
- 処置
- 胎位と心拍の確認、エーテル視による胎児の観察と記録。母体の栄養状態に関する助言。
妊娠26週目。お腹はずいぶんと大きくなり、歩くのも少しずつゆっくりになってきた頃。
診察室の椅子に腰かけた彼女は、「最近は、ふたりの動きがよく分かるようになってきました」と微笑んだ。
私はお腹にそっと手を当て、エーテル視でふたりの姿を確認した。
温かく、かすかにきらめくふたつの光。ひとつは眠っているのか穏やかで、もうひとつはくるくると動き回っている。
「少しだけ、顔を見てみましょうか」
私がそう言って簡易スケッチを描き始めると、彼女は驚いたように目を丸くした。
「これが……私の子たち……」
淡い色鉛筆で描かれたふたりの横顔を見つめる目に、涙が浮かんでいた。
「動きが活発なほう、やっぱりあなたに似てるわ」
そう呟く彼女の言葉に、同席していた夫は「そっくりな顔がふたつ並んでたら、僕も困るな」と照れくさそうに笑った。
栄養指導と今後の注意点を伝え、次回は出産に備えた準備について話し合うことを約束して今日の診療を終えた。
私的記録:
命の姿を「見せる」ことが、安心と実感をもたらす。
ふたりの小さな顔を描く時間が、家族にとって宝物のような記憶になるのだと、改めて思った。
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