診療記録005:ひとしずくの蜜、ひとすじの風
朝、診療所に慌ただしい足音と共に飛び込んできた男性は、息を切らしながら言った。「父が……朝になっても目を覚まさないんです。体が冷たくて、心臓も……」 私はすぐに往診の支度をし、彼の案内で森の奥にある一軒家へと向かった。 […]
朝、診療所に慌ただしい足音と共に飛び込んできた男性は、息を切らしながら言った。「父が……朝になっても目を覚まさないんです。体が冷たくて、心臓も……」 私はすぐに往診の支度をし、彼の案内で森の奥にある一軒家へと向かった。 […]
この日、診療所の扉を押し開いたのは、どこか覇気の抜けた足取りの来訪者だった。 「……リーザぁ……助けてくれぇー……」 胃を押さえながらしゃがみ込むその姿に、私はため息をひとつ。 「まったく。何度も言ったじゃん。『知らない […]
今朝方、双蛇党の制服を着た若いエレゼンの男女が揃って診療所へ。顔色が悪く、ややふらついた様子で、交互に症状を訴えられました。 「朝から吐き気と寒気が止まらなくて……」「昨夜、隣人の鬼哭隊の方にいただいたアンテロープの肉を […]