診療記録015:揺れる芽吹き、ふたつの鼓動

種族
ララフェル・プレーンフォーク / 女性 / 31歳
職業
農婦
配偶者
ララフェル・プレーンフォーク / 男性 / 28歳
主訴
下腹部の張り・違和感(妊娠20週)
診断
妊娠継続中。胎位に異常(逆子)。双胎妊娠であることを確認。第一児は男児と推定される。
処置
逆子体操および安静指導。母体の栄養バランス指導と経過観察を継続。
備考
次回検診にて胎位変化を確認予定。

「少しお腹が下がったような気がして……」
彼女がそう言って来院したのは、妊娠20週目に入ったばかりの頃だった。
触診とエーテル視を丁寧に行う中で、私は眉をひそめた。胎動の位置がやや高く、骨盤のほうに頭部が来ていない。 さらに、胎児のエーテル反応を観察していると、ひときわ力強い心音とともに、もうひとつの小さな反応が浮かび上がった。

「……これは、驚かれるかもしれませんが……お腹の中に、もうひとり、いらっしゃいますよ」

彼女は目を丸くし、口元を押さえて固まった後、ゆっくりと笑顔になった。
「ふたり……そうですか。ふたり……!」

さらに、第一児の胎位を確認した際、エーテル的な特徴から男児である可能性が高いことも判明した。
「男の子、ですか……!」と、彼女は顔をほころばせ、嬉しさを噛み締めていた。

「夫には……やっぱり、今日帰ってから言おうかな」と少し照れくさそうに呟いていた。

逆子に関しては、現時点では経過を観察する段階とし、負担をかけない生活と逆子体操を指導。
ふたりとも成長は順調である。


私的記録:

一粒の種からふたつの命が芽吹くこともある。
驚きと喜びに包まれたあの笑顔が、ふたりの子を守る強さになるのだろう。
この芽が、しっかりと根を張り、花開く日を楽しみにしている。

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